2024年11月5日にアメリカ大統領選挙が行われました。
「もしドナルド・トランプ前大統領が再び政権を握ったら」を略して「もしトラ」なんて言われていましたが、実際にそうなりました。
もしトラによって今後、日本の株価はどうなるでしょうか。
「トランプ前大統領は、アメリカファーストと言っているから、日本株は低迷するかもしれない」
「だったら、いまは米国株を買う方がいいのかな」
結論をいうと、私はそこまで気にすることはないと思っています。
むしろ追い風になるセクターもあるかもしれません。
2024年から新NISAによって投資を始めたという方も、気になる話題だと思います。
この記事では、前回のトランプ政権の政策と今回の選挙での公約等をもとに、日本株への影響と新NISAで注目すべき銘柄について考えてみました。
はご板もち平
- 元役所勤務
- FP技能士2級
- 現ウェブライター
- iDeCoで6年運用中
- 旧NISAで元本約2倍
- 新NISA満額めざし積立て
私は新NISAから投資を始めた初心者の方に、分かりやすく経済ニュースを解説していますので、今後も読んでみてください。
前回のトランプ氏による政策とは
ドナルド・トランプ前大統領は2017年から2021年までアメリカの大統領を務めました。
その間に行った主要な政策を簡単に振り返ってみます。
減税と規制緩和
トランプ政権の目玉政策の一つが「減税」です。
2017年に成立した「Tax Cuts and Jobs Act(減税と雇用法)」により、企業の法人税率が35%から21%に引き下げられました。
この35%というのは当時の主要先進国の中で最も高いものでした
この減税政策により、企業の利益が増加し、アメリカ経済全体の成長を加速させるというもの。
また、トランプ政権は規制緩和にも積極的で、金融業界などを中心に多くの産業において恩恵をもたらしました。
貿易戦争
一方で、トランプ前大統領は「アメリカ・ファースト」を掲げ、中国やEUを含む多くの国々と貿易摩擦を引き起こしました。
特に中国に対しては大規模な関税措置を実施し、米中間で貿易摩擦が勃発しました。
この政策は、特定の産業において短期的な混乱を招きましたが、アメリカ国内の製造業など一部のセクターには恩恵をもたらしました。
エネルギー政策
トランプ政権は、化石燃料の生産を促進し、エネルギー自給率の向上を図りました。
例えば、地球温暖化対策の国際的枠組みであるパリ協定からの離脱。
これにより、アメリカはエネルギー輸出国としての地位を強化し、エネルギー価格に大きな影響を与えました。
パリ協定には、バイデン大統領就任後に復帰しています。
前回のトランプ政権時の日本株価の動き
Yahoo Financeなどで日経平均株価の過去の推移を調べたところ、ドナルド・トランプ前大統領が大統領に就任した2017年から2021年までの間、日本の株式市場は大きな上昇をしたようです。
特に2016年末から2018年初めにかけて、日経平均株価は急激に上昇。
これは、トランプ政権の減税政策や規制緩和、そして大規模なインフラ投資への期待感が高まったことが理由のようです。
前回のトランプ政権時には日本株価は上がったんですね!
2017年の株価上昇
2016年11月の選挙でトランプ前大統領が勝利した直後から、日経平均株価は急速に上昇を始めました。
2017年1月には19,000円台で推移していた日経平均は、同年10月には20,000円を超え、12月には23,000円を突破。
この上昇は、トランプ政権の経済政策によるアメリカ経済の成長期待が、日本企業の業績改善にも寄与すると見られたようです。
ドル高円安の影響
トランプ前大統領の政策により、ドルが強くなる(円安になる)と予測されたことも、日本の輸出企業に対する期待を高めました。
実際に、2017年から2018年にかけて円安が進行し、これが日本企業の収益を押し上げる要因となりました。
円安になると、海外の商品を安く買えるので、日本の輸出産業は潤いますよね
2018年の調整とその後の回復
2018年には、米中貿易摩擦の激化や、米国の金利引き上げによる市場の不安感が影響し、日経平均は一時的に下落しました。
しかし、2019年以降は再び回復基調に入り、2020年にはコロナウイルスの影響で一時的な急落があったものの、年末には回復し、23,000円台で推移しました。
今回のトランプの政策とは
現在、トランプ前大統領は2024年の大統領選挙に向けて再び活動しています。
米国大統領選挙の最終候補の選定を左右する重要な日であるスーパーチューズデーで、共和党でトランプ前大統領が圧勝。
バイデン大統領とトランプ前大統領が戦うことになります。
ここで、トランプ氏が掲げる政策を見てみましょう。
経済政策
再度の減税や規制緩和が予想されます。
トランプ前大統領は企業と個人の税負担を軽減し、経済成長を促進することを公約に掲げています。
また、前回の就任時には目立った功績を残せなかったインフラ投資の拡大について、アメリカ国内のインフラ整備の強化を提案しています。
貿易政策
トランプ前大統領は再び「アメリカ・ファースト」を強調し、「全ての国からの輸入に10%の追加関税を課す」ことを掲げています。
特に中国との関係においては、さらなる関税や貿易制限が議論されるはずです。
移民政策
トランプ前大統領は移民政策を厳格化することを支持しており、国境管理の強化や不法移民の排除を進める可能性があります。
これにより、アメリカ国内の労働市場や賃金に影響が出るかもしれません。
エネルギー政策
前回同様、化石燃料の産業を支持する政策を続ける意向を示しています。
これにより、エネルギーセクターへの投資が増える可能性があります。
例えば、石油、天然ガス、石炭などのエネルギー関連企業は、環境規制の緩和や採掘権の拡大などから恩恵を受ける可能性が高い。
いっぽう、環境問題への対応には批判が集まることも予想されます。
例えば、地球温暖化対策による脱炭素化にストップをかける可能性もある。
これにより、テスラを始めたとするEV関連銘柄にも影響をきたす恐れがあります。
日本株への影響とは
トランプ前大統領が再び政権をとる場合、日本の株式市場への影響について考えてみます。
ドル円相場の変動
前回のトランプ政権下では、ドル高が進みました。
理由は、トランプ政権が掲げる大規模な減税やインフラ投資政策への期待が高まり、米国経済が強化されるとの見込みからくるものでした。
これは日本企業にとって輸出に有利になるため、特に輸出型の大企業にとってプラス要因となりました。
しかし今の行き過ぎた円安ドル高の状況について、トランプ前大統領は「大惨事だ。」と述べています。
もともとトランプ前大統領はドル安志向です。
ロイター通信によると「強いドルはアメリカに不利」と述べています。
これはアメリカの製造業に大打撃になるからです。
円安は日本にとっては輸出で儲けが出やすい。つまりアメリカ側は輸出で不利になってしまいます。
トランプ前大統領は、円安ドル高に対して、今の状況を打開しようとすると思います。
貿易摩擦の影響
米中関係の貿易摩擦が再燃する場合、日本の企業がその影響を受ける可能性があります。
例えば、サプライチェーンが中国に依存している企業は、アメリカと中国の間での貿易摩擦が起こると、コストが上昇してしまいます。
しかし、米中の貿易摩擦により、日米の貿易関係が加速する可能性もあるので、恩恵を受ける企業もあるでしょう。
エネルギー価格の変動
トランプ氏のエネルギー政策が再び化石燃料に焦点を当てると思われるため、エネルギー価格の変動が予想されます。
アメリカ国内でのエネルギー生産を増やしていくと、アメリカ国内だけではなく友好国にも供給していくと語っています。
ですので現在、価格が高騰している石油、天然ガス、石炭などのエネルギー価格が安くなるかもしれません。
これにより、エネルギーコストが企業の収益に与える影響や、エネルギー関連株のパフォーマンスが良くなる可能性があります。
金融市場の影響
減税や規制緩和政策により、アメリカの株式市場が好調を維持する可能性があります。
これは日本の投資家にとっても、アメリカ市場への投資魅力が増すことを意味し、間接的に日本株への投資意欲にも影響を与えるでしょう。
半導体などアメリカ企業が好調だと日本の関連企業の株価も上がることがあるからです。
例えば、アメリカの半導体企業が九州地方に進出してきていることで、九州に基盤をおく企業で株価が上昇することもありました。
ですので、アメリカ企業に密接する企業が好調になる可能性があります。
日本株で今から買っておきたいセクターと注目銘柄
もしトランプ政権が再びおとずれる場合に備えて、注目すべき日本株のセクターと銘柄をいくつか挙げてみましょう。
ここで挙げる銘柄は、皆さんが知っている有名な企業としています。
なぜなら有名企業は、安定しているため長期保有も考えられるからです。
注目するセクターを5つ挙げていきますので、そのセクターにある銘柄の中から、割安銘柄や成長性のある銘柄を見つけて、短期売買してみても面白いと思います。
輸出関連セクター
- トヨタ自動車(7203)
- 本田技研工業(7267)
トランプ政権によって現状のドル高円安がどうなるかによりますが、ドル相場は多くの要因に得供されるのでトランプ前大統領の意図通りには完全に動かないと思います。
もし今の状況が続くと、輸出企業は恩恵を受ける可能性が高いです。
特に、自動車や電子部品、機械などのセクターが注目されます。
例えばトヨタ自動車(7203)や本田技研工業(7267)は、日本が誇る世界的な自動車メーカーであり、ドル高による収益増加が期待されます。
トヨタ自動車も本田技研工業もPERとPBRがともに一桁台であり割安。
本田技研工業はPBRが1.0を切っています。
2023年にPBRを1.0倍以上に改善するよう、東証からの要請があったにも関わらず、まだ1.0倍をきっている状況は気になります。
PBR=株価÷1株当たり純資産で求められます。1.0を切るということは、株価(株主)が純資産よりも低いということは、株式市場で解散した方がいいと評価されているということです。
ただし、配当利回りでいうと4%あり、2019年から常に3%以上を維持。投資の検討に値すると思っています。
また、ソニーグループ(6758)は、半導体などの電子機器やエンターテイメント事業で世界的に展開しており、輸出に強い企業です。
ソニーグループは配当利回りが0.77%と低めです。できれば3%以上の配当利回りは欲しいところです。また、株価が13,625円と高めですので、買うなら100株未満から買える「単元未満株」になりますね。
単元未満株は、楽天証券やSBI証券などで買うことができます。
エネルギー関連セクター
- INPEX(1605)
- 西華産業(8061)
- 住石ホールディングス(1514)
トランプ氏のエネルギー政策は化石燃料に焦点を当てているため、エネルギー関連企業も注目されます。
ENEOSホールディングス(5020)は日本最大の石油企業であり、エネルギー価格の変動に敏感です。
また、伊藤忠商事(8001)は総合商社としてエネルギー分野にも広く関与しており、石油やガスの取り扱いに強みがあります。
他にもINPEX(1605)は石油・天然ガス、西華産業(8061)はエネルギー関連設備、住石ホールディングス(1514)は石炭、などをそれぞれ取り扱っています。
これらのエネルギー関連会社が延びる可能性がありそうです。
この3社は配当利回りが3%超えており、EPSが2020年や2021年にマイナスになっただけでその後は+となっています。
マイナスになったのはコロナ禍の影響によると思いますので、気にすることもなさそうです。
EPS=当期純利益÷発行済み株式数で求められます。1株当たりの純利益なのでどれだけ安定して稼げているかを表す指標です。
防衛関連セクター
- 川崎重工業(7012)
米中関係の緊張が高まる中、防衛関連企業も重要なセクターとなります。
三菱重工業(7011)は防衛機器の製造に携わる企業であり、世界的な安全保障の不確実性に対応する力を持っています。
他にも、三菱電機(6503)は戦闘機や装備品、川崎重工業(7012)は航空機、NEC(6701)は潜水艦などを取り扱っており、防衛関連の大手企業です。
どの企業もPERが高く割高な状況。
配当利回り予想が、川崎重工業だけ2.4%なので、注目株としました。
テクノロジー関連セクター
アメリカのテクノロジー企業が恩恵を受ける可能性があるため、日本のテクノロジー企業も注目されます。
キーエンス(6861)自動化機器やセンサーの製造で世界的に活躍しており、技術革新に強い企業です。
ソフトバンクグループ(9984)は前回のトランプ政権の際に、孫正義氏がトランプ前大統領と密接な関係を築き、株価が高騰した企業です。
トランプ前大統領が再び政権を握った際には、ソフトバンクの動きに注視したいところです。
インフラ関連セクター
- コマツ(6301)
- クボタ(6326)
トランプ氏のインフラ投資の拡大に伴い、インフラ関連企業にも注目が集まります。
「アメリカのインフラ整備に日本企業は関係ないんじゃない?」と思うかもしれませんが、大規模なインフラの推進にはグローバルな資材需要が高まります。
ですので日本企業にも波及効果が及ぶ可能性があるのです。
コマツ(6301)やクボタ(6326)は建設機械を取り扱う企業であり、アメリカにも拠点をおいています。
この2社はPERは10倍程度、PBRは1倍台と割安な水準であり、配当利回りもコマツは3%、クボタは2%を維持しています。
どちらも「もしトラ」に関係なく、買っておいて損はない銘柄だと思います。
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投資についてどう勉強すればいいのか分からない
という方もいると思います。
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まとめ
今回の記事で挙げたセクターと銘柄は、「もしトランプ政権になったら」を想定して検討する価値があります。
短期的な売買というよりも、長期的に持っておいてもいい銘柄を選ぶ方がいいと思います。
なぜなら、投資初心者は売りどきが分からないからです。
どうしても短期売買に挑戦してみたいという方は、これらのセクターの中から、割安株や成長株を発掘するのもいいと思います。
それも株の楽しみ方の1つですよね。
しかし最初は、少額で挑戦してみてください。
今後の市場動向を注視しながら、リスクを分散し、賢い投資を心がけましょう。